翌日。
「うーん、駄菓子、やっぱ安いだけあって足りないな」
「はいはい、今日も奢ってやるよ」
波久倍くんは、とりあえずストーカーの正体がわかったということでお礼をくれた。昨日の今日だし、裏に何者かがいそうなので解決はしていなさそうなのだが。
「まあ、それでもちゃんと依頼料くれたからいい子だな。名前忘れたけど」
「忘れんなよ。波久倍くんだよ」
「彼がこれで終わりでいいって言うなら、もう多分関わることはないだろ」
「これで終わりっていうのは、もやもやするけどな」
「わかる」
雷たちは昨日の黒スーツのやつらを思い浮かべた。
「カルロッタと愉快な数学コンビ、結局なんだったんだ」
「そっちの名前は覚えてんのかよ。てか数学コンビって何」
「ラジアンとメジアンとかいうふざけた名前してたからな」
「うえー、なんだっけそれ」
「中学範囲だろ」
雷たちは食堂に入った。
「氷河くん、今日はいくらまで出してくれんの」
「んー、じゃあ300円」
「厳しい」
「贅沢言うな」
通りすがりのクラスメイトが、それを見て、
「穂天のやつがまた春寒にたかってら」
「うるせ」
そのまた翌日、波久倍くんが教室にやってきて、「昨日は気配がなかったんです! 解決したっぽい!」と報告しに来たので、今回の件は一旦終わったことになった。
〜
それから約1週間。
氷河は珍しく学校に遅刻しかけていた。
「は〜〜夜遅くまで勉強してんじゃなかった」
まあしかし、走れば全然間に合いそうである。
そんなわけで氷河は全力ではないが走っていた。
そうしたら、突然進行方向の先に、波久倍くんが出現した。
「は?!」

そう、本当に突然。空から降ってきたでもなく、何もなかったところに唐突に現れた。
こんな時間にここにいるのだから、波久倍くんも遅刻しかけだったようで、学校に向かって走ろうとしていたが、
「まてまてまてまて」
氷河が止めた。
「うわっ、春寒先輩」
「おま……それ……」
「み、見てました? あの、内緒にしてください、今の」
「え、えぇ……」
波久倍くんが走り去り、氷河が呆然としている間にチャイムが鳴った。
「あ、やべ」
