宝探し大会

翌日。

「そうそう、ここです! 懐かしい~ってほど昔じゃないですけど」

雷は何とか動けるようになって、どうしても今組織の拠点を見に行きたい! というので氷河は仕方なく了承した。本当は家で休んでほしいのだが……

もろにアリーナの能力を食らった割に動けるようになったのは手加減されていたのか、体力があるからなのか。
叶さんの伝言通り天緑山を下りて、天緑山から流れる川を逆に辿って行ったら洞窟があった。
洞窟の中には滝があり、その裏に無機質な扉が隠されていた。
その中は叶さんのいう通り何もなかった。

「もし盗賊の財宝が本当にあったら、こういうところに隠されていたんだろうなぁ」
「私もそう思います! 叶さんは組織が売っぱらったでしょうとか夢のないことを言っていますけど、私はまだどこかにあると思ってますよ。だって組織は財宝とか興味なさそうですし」
「へー、てか叶さんが組織と戦っているなら、真夏さんも組織の人には出会ったことあるのか?」
「ありますね~、変な人たちでしたよ」

真夏も相当変側だと氷河は思うが、そんな真夏に変な人と評された組織の人たちは一体どんな人たちなんだろうか。

「まあでも確かに、前戦ったやつはだいぶ変なやつだったかもな……」
「名前もふざけて……」

「「あっ!!」」

雷と氷河の声が揃った。

「びっくりした、急に大声出さないでくださいよ~」
「俺でも思い出してるってことは雷も同じこと思ってるよな……」
「あぁ……」

雷たちは高校時代に組織に追われていた後輩を助けたことがあった。が、その後輩はテレポートできるというかなり珍しい能力持ちだったのだ。
生命エネルギーを吸う能力なんて珍しいとかそういう次元ではない。

「大河の情報が間違ってるのもおかしいとは思ったんだ、まあ冴代文珠一人に調査させてるから大した案件でもないのかと思ってたけど」
「今から山登って……行けるか……?」
「もう一回登る体力は俺にもないぞ……」

雷はなんとか歩けてはいるものの戦闘をしろと言われたら無理だし、氷河だって糸でじわじわとエネルギーを吸われていた。
2人は人間の体力の限界を恨んだ。

「確証があるわけじゃないから、公的機関にも通報できないしな……ってか組織って認知されてるの?」
「そもそも組織が珍しい能力者おっかけて何をしてるのか不明だしな……」

うーんと唸る雷たちに真夏が声をかける。

「アリーナさんが生命エネルギーを吸うのが本当なら、たいていの人はかなわないんじゃないですか?」
「それは、確かに」

真夏にしてはまともなことを言うと氷河は思った。

「そんなことより、今度ボロアパートに遊びに来てくださいよ」
「そんなことより?」
「ボロアパート⁇」

急に話が変わったうえにあまり聞かない単語に困惑する雷たち。

「そうです! 私が住んでるアパートです。叶さんもいますし、ほかにも面白い人たちがいますよ~」

そういうことが聞きたかったわけではない。

「あと、私が炊き出ししてるので是非食べていってください〜。1杯500円です」
「金目的かい!」

まず、アパートで炊き出しが行われているというのがどういう状況なのかもよくわからない。氷河が横を見ると、雷もはて……という顔をしていた。

――雷も困惑させられる人っているんだな……

世界は広い、と氷河は思った。