黒夜同盟

一方雷。
氷河から連絡を受けて東商店街周辺に赴き、見かけた黒い煙を出している人たちの術を解除して歩いていた。

「たーしかに術自体強くないな。まあ一般人をタコ殴りにして気絶させなくても解除できるなら楽か」

と、言っても感染するという性質上全員完全に術を解除して回るのも骨が折れる。

「やっぱさっさと真犯人をシメてそいつに後処理させたほうが楽だな〜」

氷河と合流しないことには話が始まらないな、と電話をかけようとしたが繋がらない。

「うん? 映画でも観に行ったのか?」

この辺に映画館はない。
おかしいなと首を傾げていたら突然声をかけられる。

「お前、煙出てないな。犯人か?」
「あ? お前も煙出てないな。犯人か?」

セレンディアだった。セレンディアは氷河と別れてから氷河とは反対方向に向かい、通りすがりの煙のでている人間を殴りながら歩いていた。

「うーん猫族か。氷河くんみたいなセンスの服を着てるな」

イマジナリー氷河が「流石に普段着にはしねぇよ」と言ってくるが雷からすれば色が違うだけでだいたい一緒である。

「今氷河って言ったか? お前も戦闘術者?」
「もしかして氷河くんに会ったのか?」
「会ったぞ」

なぜか誇らしげにするセレンディア。

「氷河くんどっち行ったか知ってるか?」
「商店街の奥の方に煙出てる人がいっぱいいたと教えた」
「親切な猫だ」

雷は氷河が向かったという方向に向かった。

「煙が出ていた人が多かったのなら真犯人もこっちのほうにいる可能性が高いのかな」

氷河と同じ結論を出しつつ、もしや既に真犯人と接触したのではという考えが頭に浮かぶ。

「いやでも氷河くんがそう簡単にやられるわけなくない? 術の副作用も消せないような奴に……」

あるとすれば、戦闘に使用することは禁じられている精神作用系の術を、戦闘中に使われた場合――

「その場合、私は躊躇なく敵をボコボコにできるな」

映画でも観に行ったのか? などとふざけたことを言ったが雷は氷河が仕事中に連絡もなしに突然映画を見に行くような人ではないことを知っている。

「はー、面倒くさいなー、聞き込みとか向いてないんだよなぁ〜」

雷は頭をポリポリとかく。
そのとき、雷のスマホが鳴る。

「なんだ氷河くんか? まあさしずめサイレントモードにでもなって……」

氷河の母だった。

『雷さん? 今氷河と一緒じゃないわよね?』
「全然バラバラだが……」
『今大河から連絡をもらって、なんでも通話中に急に音声が途絶えたって』
「はぁ……まじか」

大河って誰だ? というのはおいておいて、明らかに襲われている。嫌な想定が当たってしまった。

『まああの子は腕がいいだろうからそうまずいことにはならないだろうけど……』
「まあ、それは」
『大河曰くおそらく東商店街の近くの別荘周辺にいた可能性が高いらしいわ』
「いや私は春寒家の別荘の場所とか知らないんすけど」
『見たらわかるわ!』
「えぇ」

そんな雑な……